
硤合憲三氏にノーベル化学賞 難解な反応より気になる「次の研究者」の財布
東京理科大学名誉教授の硤合憲三氏が、アンリ・カガン氏とともに2026年のノーベル化学賞を受賞することが決まりました。硤合氏は「硤合反応」と呼ばれる不斉自己触媒反応を発見しました。受賞者と授賞理由はノーベル賞の公式発表でも確認されています。
硤合氏の研究は、鏡に映したような二種類の分子のうち、なぜ生命に関わる物質では一方が多いのかという謎を考える手がかりになります。将来の創薬への応用も期待されてきました。
「硤合反応」と呼ばれる不斉自己触媒反応を発見した。
生命に不可欠な物質がどのように生まれてきたかを解明する手がかりとなる。
硤合氏の受賞は、すぐに売れる製品を作るだけが研究の価値ではないことを示します。分子の「右」と「左」の偏りという難しい問いを、長く掘り下げた成果が世界で評価されたのです。受賞を喜ぶのは当然ですが、成果が出てから拍手するだけなら簡単です。次の研究者が同じように時間をかけて試せるか、そこまで考えないと祝賀ムードは一過性で終わります。
研究費を増やせば必ずノーベル賞が出る、という単純な話でもありません。限られた予算の使い道を問うのは必要です。ただ、結果が読めない基礎研究を短期の採算だけで切れば、大きな発見の芽も残りません。若い研究者が研究を続けられる雇用と資金、失敗を許す時間をどう確保するのか。硤合氏の名前を祝うなら、その土台にも目を向けるべきでしょう。
